目が合うとすぐさま逃げ出してしまう猫のように、
近づくことを拒む膨大なモノのすぐそばに隠れても
つねに僕の様子をうかがっているのは
本当は誰かのそばにいたいから。

ビルのように高い巨木が密集するジャングルを支える
地面に降り注ぐわずかな光さえ照らすことを嫌がる、
暗闇に慣れきってしまった僕だって
本当は鳥のように密林の枝にすわって会話をしてみたいのに
羽なんかないし、だいたい言葉も知らないんだ。

もし言葉をかけられたらすぐどこかに逃げ出してしまうのに
すこし経ったら人のいる場所にこっそり戻ってくるような
恥ずかしがりやの飼い猫ですら
僕の前には二度と姿をあらわさないとしたら、
このまま真っ暗な小屋の中で眠り続けるべきなんだろうか。

===========================
無断転載を禁じます

By GloomyWind 2003/3/29
===========================


© Rakuten Group, Inc.